2017年の年末に200万円台まで跳ね上がったビットコインですが、現在は70万円台に下がっています。もう、ビットコインの時代は終わってしまったのでしょうか?
いえ、私はそうは思いません。まだまだ期待は十分にできる状況にあると思います。値段が今後上がっていくかどうかは、主に中国とアメリカの動向にかかっています。
目次
中国でビットコインが規制された!ビットコイン相場にかかる影響とは?
中国は、2013年から2017年前半にかけて仮想通貨の取引量が世界一でした。しかし2017年9月に中国政府は新規コインの発行(ICOといいます)を全面的に禁止。ほどなくして取引所での取引も停止しました。
この時点ではまだ「仮想通貨取引」のみの規制に留まっていたのでマイニングは禁止されていなかったのですが、2018年1月には中国政府が仮想通貨のマイニング事業の停止を指導するよう地方当局に通達したことにより事業者は海外移転や中国内でのマイニング契約市場を閉鎖するなどの対応に追われてしまいました。
中国政府が仮想通貨取引を規制した背景
中国では元々、人民元の流出を防ぐ目的で外貨に対する規制が厳しく、海外への人民元の送金に対し当局から厳しく理由や目的を問われたり、送金額を制限されたりします。そのため資産のリスクヘッジが大変難しい状況でした。
そのような状況の中で、富裕層の人たちは新たに誕生した仮想通貨に目を付け、海外へ資産を移すための手段などとしてビットコインが利用されるようになりました。
中国でのビットコイン取引は手数料がタダだったこともあり、その後どんどん中国国内で仮想通貨の人気が過熱していき、中国政府は人民元の価値の流出やICO案件の詐欺を防ぐため、この度の規制に踏み切ったのです。
下記のような順番で規制されていきました。
1.手数料なしでの取引を禁止
2.仮想通貨を使った資金調達(ICO)を凍結
3.仮想通貨の取引所を全面的に閉鎖
4.国内のマイニング事業を禁止
中国でICOが禁止された理由
2017年9月に中国政府は「ICOの大部分は詐欺であり、ネズミ講である」として、個人・企業限らずICOでの資金調達を全面的に禁止しました。
また、ICOで調達した資金は投資家へ返却することを強制し、返却しなかった場合には処罰を与えると明言しました。さらに、中国の中央銀行である中国人民銀行はその後、ビットコイン取引所の閉鎖も命じました。
なぜここまで全面的な禁止に踏み切ったのでしょうか?考えられる理由をこちらにまとめました。
①詐欺の被害を防ぐため
中国版イーサリアムと言われている仮想通貨NEO(ネオ)を発行する運営会社NEOの共同創業者は、こう説明しています。
「中国では週に10件ほどのICOが実施されていた。だが、多くの人はビットコインを理解していない。ビットコインの知識がないまま、ただそれで大もうけをしたいと考えていた。高齢の女性たちが老後の蓄えを投資し始めたことから、政府は介入することにした」
また、同国の別の仮想通貨Qtum(クアンタム)を発行する運営会社Qtumの共同創業者は、ICOが人気を得るようになるにつれて、多くの人が当初の目的を忘れ始めていたようだと語っています。
「詐欺と見られるICOプロジェクトもあった。だが、中国人たちは詐欺かどうかを見分けることができない。ICOを理解していないのだ」
中国で爆発的にビットコイン投資熱が上がった理由は、富裕層のリスクヘッジや、人民元への不信が根底にあると思いますが、ビットコインの知識も持たずに「よく理解していない儲け話に飛びついただけ」の人が多くいたことも大きな要因のようですね。
しかし、これらはあくまでコイン運営会社のトップの「見解」であり、中国政府は仮想通貨取引を全面禁止した理由を明確にはしていないそうです。
②政府がコントロールできないところで通貨が流通されるのを防止するため
前述したように、人民元の価値の流出を防ぎたい中国政府にとって、仮想通貨の爆発的ヒットは脅威でした。
③中国政府が仮想通貨を独自発行することを発表したため
上記①②の理由があって、国民の投資活動をコントロールするために発行する意向となったのか、はたまたそもそも政府発行の通貨を発行するにあたり他の仮想通貨は邪魔だから規制したのか、は不明です。しかし、2016年の時点で中国の中央銀行が「国主導の仮想通貨を発行する」と発表していることから、それがベースにあっての全面規定か?とも捉えられます。
規制をかけられたことで、ビットコインの投資家たちはどうしたか?
仮想通貨の取引は全面規制されている中国ですが、アプリなどを使えば個人間の取引は可能です。またTether(テザー)という仮想通貨を使うことによって中国当局の規制を回避する人たちも現れてきています。
Tether(テザー)とは、Tether Limitedが運営する仮想通貨です。略号はUSDTで、1USDがほぼ1USDTになるように固定されています。「人民元→USDT→ビットコイン」という流れにすることで規制を回避しています。中国では規制をした結果、当局が管理しきれないところで地下取引のようになってしまっているため、逆にマネーロンダリングなどの犯罪に利用されてしまうという意見も出ています。
2018年の中国のマイニングの現状
中国では、電気料金が安いためマイニング事業が盛んでした。しかし2018年の1月に中国政府によって国内のマイニング事業は規制され、現在ではマイニング工場は閉鎖されてしまいました。
そのためそれまで中国国内でマイニング事業をしていた企業は、これからはアメリカやアイスランドなど海外に移転して、マイニング事業を継続することを検討しています。
中国がビットコインを規制したことにより市場にどんな影響があったか
①ビットコイン規制の結果、一時的にビットコイン価格は1BTC=50万円から30万円近くまで、実に3割以上も急落し市場に大きな影響を与えました。
②規制によって中国の大手取引所が香港や韓国、シンガポールなどへ進出しています。さらに日本で事業ライセンスを申請している取引所もあり、中国大手のバイナンスはすでに日本に拠点を置いています。
③日本のビットコイン取引量が世界1位になりました。
ビットコインの価格が上がる要因になりそうな2つの可能性
今後、中国の規制緩和とアメリカの>ETFの承認次第で、ビットコインの値段は上がるだろうという見方があります。
中国政府が運営する取引所が誕生した?!
2017年9月に完全に中国政府によって規制されていたビットコインが、2017年11月に一部の取引所で取引が再開されたとのこと。
それに伴い、中国で新しい仮想通貨取引所が11月1日にオープンしました。http://ZB.com というサービスで中国人はもちろん世界中の人がアクセスして利用する事ができるようです。中国政府が運営していると噂されていて、北京に本社を置く国有企業の中国中信集団公司(CITIC 傘下には中信銀行)に買収された取引所と言われています。
中国政府は、当局の管理下に置くことで仮想通貨の取引を一部解禁したようです。
また日本の取引所と同じようにライセンス制度を導入して、マネーロンダリングなどの犯罪を防止できるシステムが整い次第、取引再開となるのでは?と予想されています。
ETFの承認次第で、ビットコインの価格が跳ね上がる?!
ETFとは上場投資信託のことで、アメリカの証券取引委員会(SEC)認可のETFが承認されれば機関投資家と呼ばれる超大口投資家やヘッジファンドなどの企業からの資金流入が見込めると期待されています。
テイラー・ウィンクルボス氏とキャメロン・ウィンクルボス氏(ウィンクルボス兄弟)は、7月末に彼らの運営する仮想通貨取引所『Gemini (ジェミニ) 』によるビットコインETF申請がアメリカの証券取引委員会(SEC)に否決されました。
ウィンクルボス兄弟はこれまでに、Geminiの取引量の減少や取扱通貨の価格低下などに悩まされてきましたが、ビットコインETF申請がSECにより否決されたことが、おそらく彼らにとって最大の打撃であろうと言われています。
彼らは、ビットコインETFが承認されれば大きな利益になりうると考えていたため、多額の株式を保有していたが、否決によって市場に悪影響を及ぼしたようです。
ウィンクルボス兄弟のビットコインETFの不承認理由として、SECは「ビットコイン価格を(ウィンクルボス兄弟が運営する)仮想通貨取引所Geminiの価格を元に算出することは、Gemini自体の取引量が比較的小規模で、流動性も低く、価格操作が行われる可能性がある」と指摘しています。
仮想通貨関連スタートアップAmun TechnologiesのCEOを務めるHany Rashwan氏は、今回のビットコインETF申請の判断は、最長2019年2月まで延期できるため、「SECは、(各国の規制動向など外部環境の問題もあり)2018年中にビットコインETFを承認する可能性は低い。2019年2月まで判断を延期させるのではないか。」と予想しました。
さらに、アメリカの投資会社BKCMのCEOであるBrian Kelly氏も、「今の市場にとってビットコインETFは時期尚早であり、SECも最終的な結論に至っていない」と言及し、二次期限の9月30日まで延期とされているVanEck・SolidXのビットコインETFの判断は、さらに延期されるのではないかと予想しています。
ビットコインETF申請がSECに承認されれば、ビットコインの価格が大きく上がるだろうと予測されていますので、今後のSECの動向が気になるところです。
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